制作/川添真琴
宣伝美術/be
協力/甘もの会 五反田団 シバイエンジン 新宿眼科画廊
三日前からウチにいる猫が洗濯機の下に入る。
最初は変だと思わなかった。猫はすき間が好きだから。
でもよく考えると縦1センチの幅もないそのスペースにどうやって収まっているんだろうという疑問が生まれてくる。
猫はたしかにそこに逃げ込んだのだった。逃げ込むところをわたしはちゃんと見たはずだった。
ホースを外して洗濯機を傾けるみたいにして持ち上げてみる。
五百円玉を代わりに見つける。夫が勝手に持ってきた猫だし愛着はないけど、そのいなくなり方に耳鳴りがしてくる。
「猫隠しはもう始まっている(!)」
という貼り紙が南青山の細い路地の、さらに曲がった突き当たりにあるのを思い出す。その時わたしは近くの和菓子屋で最中詰めをしていて、貼り紙の前は隠れて煙草を吸う場所だった。フェンスに囲まれている。わたしは煙草を吸わなくなって2年が経つ。
洗濯機を元に戻し、水漏れしないようホースは蛇口にしっかりと被せる。